薬局実務実習日誌2010 in 原田薬局
「薬局実務実習」においては、第三者評価等によりその実務実習事前学習をはじめとする事前学習が十分に行われていると確認された薬学生が、薬局の社会的役割と責任を理解し、地域医療に参画できるようになるために、保険調剤、医薬品などの供給・管理、情報提供、健康相談、医療機関や地域との関わりについての基本的な知識、技能、態度を修得することを目標としている。
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福岡第一薬局の薬局長は悩んでいた。
門前の病院のドクターが数ヶ月前に体調を崩し、診療日が週に3日だけになり、ヘルプで来た先生の評判がよろしくない。
先月あたりから処方箋は激減している。
来月には近くに九州最大規模の超巨大介護福祉施設「ユートピア糸田」のオープンが控えている。
ここで一発大逆転をはかるべく新型分包機の導入を検討しているが、資金繰りがどうもうまくいかない。
近くのライバル店には、新型分包機の導入予定はなく、ユートピア糸田への営業活動において新型分包機の存在は大きな武器となるため、そのための資金調達は急務なのである。
まずは在庫管理から見直すことにした。
現在取引のある卸はすべて月末締めの10日払い。
現在は10月1日で、出来る事なら月末までは発注業務は最小限に留めたい。
そこで9月分の薬剤使用金額をABC分析してみた。
A分類(~80%)に該当する品目数は129品目であり、全528品目の25%程度であり、さらに上位50品目だけで全使用合計額の50%を占めていた。そこで、上位50品目について特に厳重な在庫管理体制を敷くことにした。
上位50品目のうちジェネリック変更可能な薬は11品目あり、仮にそれらのすべてにおいて、50%をジェネリックに変更できたとすると、20万円近くが浮く計算になる。
そこで、その11品目については特に精力的にジェネリック変更を勧めた。
また、使用者の限られている薬について着目したところ、セレジストとTS-1が浮かびあがってきた。これらの薬は高額なので、あまり仕入れたくない。使用している患者をレセコンで調べたところ、それぞれ1人ずつだった。幸運な事に、この2人は9月末に来局しており、次回来局予定は10月以降であったため、今月は注文せずにやり過ごすことにした。
それだけで20万円近く浮いた。
さらにA分類のものについて、よほど回転率の良い薬以外は、少し割高になるけれど最小包装単位で注文することにした。
この作戦がうまく行けば、新型分包機はもう目の前だ!
2週間が経過し、今のところうまく行っている。というか、うまく行き過ぎている!薬局長は軽く天狗になっている。
なんと、ジェネリック使用率は数量ベースで70%を越えているのだ。
このペースで行けば、間違いなく新型分包機はゲットできる!
ところが、予想外の出来事が起こった!
ある日を境に、後発医薬品変更不可の印鑑を押した処方箋ばかりが来はじめたのだ。
こっそりと探りをいれたところ、どうやら先発品メーカーのMRさんがドクターに、ジェネリックの品質について有ること無いこと吹き込んだようだ。
このままではジェネリック変更大作戦がパーになってしまい、この薬局はもう終わりだ。
行き詰まって大学の友人に相談してみた。
「そんなもんドクターに黙って、勝手にジェネリックにかえちゃえよ!」と言われた。
「そ、そんなことは出来ない・・・こうなったら奥の手を使うしかない。
ハッタリを効かせて卸さんに、支払いを待ってもらうしか・・・」
プライベートでも仲の良い卸さんに、さりげなく話をしてみた。
「ユートピア糸田のオーナーは僕の幼なじみでさ~、処方箋は全部うちに持ってきてくれるって言いよんよね~・・・でも、あんな大きな施設やったら、うちじゃ対応しきれんかもねー。分包機を新しいのに出来たら、仕事の効率もあがってさばけるんやけど、なかなか資金繰りがね~。やけん、断ろうかなぁとも思いよるんよねー。あ、そうやん!ちょっとさぁ、今月の支払いを1ヶ月だけ待ってもらえんやか?そしたら、分包機買えるし、めっちゃ助かるんやけど・・・お願いっ」
卸「支払いを1ヶ月先延ばしですかぁ?んーちょっとそれはさすがに~・・・」
「やっぱムリかぁ~。ユートピアの処方箋受けたら、循環器とか脳血管系とか需要が多分倍以上になるんやけどなぁ・・・そのへんの薬の注文を全部おたくに頼むけんさ、どうにかならんやかぁ?」
卸「んーそしたら、上司に聞いてみます」
後日、OKをもらった。
「よし!これはでかい!200万円近い支払いを延期できた!新型分包機が買える!」
後日、新型分包機を買った。卸さんにハッタリをかましたまま・・・
「ユートピア糸田の営業活動に失敗したら、絶対詐欺で訴えられる・・・」
不安な気持ちを抱えたまま、ユートピア糸田に営業に行った。
新型分包機の能力を軸にプレゼンしたところ、なんとオーナーは福岡第一薬局に処方箋を持ってきてくれる約束をしてくれた!
こうして福岡第一薬局は売上を倍近くにのばした。
いま、福岡第一薬局の薬局長は2店舗目の開局準備に追われている。
めでたしめでたし。
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無題
超巨大介護福祉施設「ユートピア糸田」、、、。
医薬品在庫の発注管理を厳重に行うために、重要品目の選定にABC分析を用いましたね。
このケースも「調剤報酬入金」と「医薬品仕入れ代金支払い」の時間差を利用して、
設備投資資金を確保する作戦を最初に考えたケースです。
また並行して、発注タイミングをコントロール(請求〆日以降の発注)することで、支払いを先送りすることも考えました。
高額医薬品には特に注意を払いました。
また、高回転品目以外は最小包装単位で発注することで在庫ロスのリスクを減らすことにも注意を払いましたね。
悪徳MRによる予想外の妨害にも、友人の無茶苦茶なアドバイスにも動揺せずに
代替案「支払いのスライド」を導き出しました。
福岡第一薬局を信用してくれた卸さんには感謝しましょう。
注意
新型分包機の能力を軸にプレゼンしたところ、なんとオーナーは福岡第一薬局に処方箋を持ってきてくれる約束をしてくれた!
↓
新型分包機の能力を軸に施設利用予定者様方にプレゼンしたところ、福岡第一薬局に処方箋を持ってきてくれる約束をしてくれた!